【CT検査、MRI検査を行っています】那珂川市のクリニック｜吉田クリニック

福岡県那珂川市のクリニック　吉田クリニックです

日中はずいぶん春の陽気を感じる事ができる様になり、当院のまわりでは菜の花も咲いているこの頃ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

今回は頻度が低いものの、重篤な疾患を経験しましたのでご紹介いたします。

未治療の高血圧症をお持ちの方で、みぞおちの痛み、背部痛にて受診されました。当初は膵炎を疑い単純CT検査や採血検査を行いましたが、採血検査にて膵炎を疑う所見がなく、CTでも膵炎の所見は認められませんでした。CTでは上腸間膜動脈周囲に軽度の脂肪織濃度上昇が認められていました。頻度は低いものの、上腸間膜動脈解離の可能性も考え、造影CT検査を行いました。造影CTでは、図1の様に、上腸間膜動脈の壁に増強効果が乏しい領域があり、血栓閉鎖型解離が疑われました。（図2の3D画像では上腸間膜動脈の内腔が不整なっている事が分かります）

高次医療機関での加療が必要であり、救急車にて転院搬送となりました。幸い、腸管の血流は保たれていましたので、保存的な加療で治癒なさっています。

上腸間膜動脈は、小腸や大腸の大部分を栄養する血管です。上腸間膜動脈が閉塞してしまうと、腸の大部分で血行障害が起きてしまい、最悪の場合には腸管の大量切除が必要になります。（腸管の血行障害が起きると、腸が壊死してしまい、お腹の中で破れる事があります。特に大腸が破れると、便がお腹の中に漏れ出てしまい、重篤な腹膜炎を発症します。血行障害が起きてすぐなら血行改善も可能ですが、ある程度時間がたってしまうと、腸管切除が必要になります）。診断は超音波検査や造影CT検査が有用ですが、超音波では腸管ガスなどで見にくい場合もあり、造影CT検査が非常に有用です。原因は喫煙や高血圧など動脈へのストレスが原因となることが多いようです。

今回ご紹介した病気は特殊なものではありますが、原因は高血圧症など一般的なものです。高血圧や糖尿病などは、症状があまりでませんが、重篤な疾患の原因となりうる病気です。たかが血圧と高を括らずに、健診などでご自身の体の状態を定期的にチェックすることが大切です。

健康診断については、お電話にてご予約を承っております。まだ令和４年度の特定健診は受診可能です。この機会にご自身の体のチェックをなさってはいかがでしょうか。